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空き瓶

思ったことや自作小説について

未だに無内定の就職活動で思うこと

10 月頭に内定式とやらがあったらしい. 今大学 4 年生なので, たぶんコレふつう僕も出るべきやつなのだが, どこからも内定を貰っていないので他人 [ひと] ごと状態である. 今年は凄い売り手市場で, 昨年に鑑みるに今年も過去最高水準の就職率となっているらしい. 大抵のひとは 7 月までにはどこかしらから内定を貰えているようだ. が, 無能でひととうまく喋れない自分には難しかった.

初めのうちは県内の中小企業を 30 社ほどがんばって受けたが, 書類選考はまずまず通っても, すべて次の 1 次面接で落ちてしまった. どういうのか, どこもひと柄を最重視している感じを受けた. 明るくはきはきと答え, 仲間たちを力強く引っぱっていきそうな, エネルギッシュで有能そうな人物. インドア派ではなくアウトドア派, 文化系よりかは体育会系. そういう人物を求めている印象であった. 「自分はおとなしい性格です」 などといおうものなら, その時点で落とされそう. これはちょっと僻みじみた観点だけど, 極端な話, いじめられっ子よりもいじめっ子を欲しているという感じ.

学業成績は, 留年を繰りかえしているなど明らかな落ちこぼれ学生を除くために見ているだけで, 良くても特に評価はされない印象であった. べつに僕の成績が特別良いわけではないのだけど, 幾つかの講義で学科 1 位の成績を取れて, それを自己アピールにしていた. けれど, 受けは悪かった. 自分のへどもどした要領を得ない話し方も悪かったろうが, そもそもそういうエピソードを求めていないようであった. 個人ひとりでなにかをやった話より, ひとびとと協力し支えあいながら目標を達成した, そういうエピソードを求めているように見うけられた. だいたい, 知力のあるやつが欲しければ難関大学生を [] れば良い話で, 偏差値 40 代のへぼ大学でちょっと良い成績を取ったところで, いまいち過ぎるエピソードであったのかも知れない.

ともかく, ほんとうにコミュニケーション能力がすべてという印象だ. ひと当たりの良いひとは就職活動は安泰であろう. 一流大手企業は, ひと柄だけではなく技能も重視するのかも知れないが, 僕のばあい技能もなにも無いので, ますます論外だ. 「スポーツは得意か」 「大人数を成功に導いた経験は」 「アウトドア派かインドア派か」 「友達は多いほうか」 もううんざりだ. 高校のときのクラスでの位置づけ (要するにカースト) を訊いてきたところさえあった. 友人はひとりもおらず, 完璧に孤立していたよ. こういう質問に, さも自分が社交的で明るい人物であるかのように偽って受けこたえしなければならない. 有能の振りをしなければならない. それはもちろん分かっていたが, 面接で有能の振りをできるほど器用でもなかった. 面接時だけでも自信満々に振るまえる, やはりそれはひとつの能力だと思う.

ある会社で, 肥えた禿頭 [とくとう] のおっさんが椅子にふんぞり返り, 踵を踏みつぶした革靴で貧乏揺すりをしながら, 「私たちはね, 君たちのひと柄を重視しているんですよ. 応募者の真のひと柄を評価しているんです」 といったときは, これはなんの茶番かと思った. 自分の "真のひと柄" が, こんな偉そうなおっさんに評価されるのか. さらに愚痴ると, そののちの質疑応答で, 「社長のアイディアによるすばらしい商品で御社が成功されていることは分かったのですが, 社長以外の社員のアイディアが製品化したことはあるのでしょうか」(大意) と尋ねたら, 「あのね, 社長のようなアイディア・マンがそうぽんぽんいると思いますか?」 となぜか煽られた.

―― まぁ, こんな感じで, 自分の無能っぷりや就職活動の茶番さに嫌気が差し, 今はなにもしていない. ここで正社員にならなければ生涯賃金的に大損だ, ということは頭では分かっているのだが ……. ひとり暮らしを始め, アルバイト代の月収 6 万円だけでも案外ふつうに暮らせることが分かり, 危機感が無くなってしまったこともある. お金は, そりゃあたくさん無尽蔵に欲しいのが本心だけど, 無かったら無かったでべつに良い. ひととなるべく会わない仕事がしたいなぁ. オフィス ビルの夜間警備員とか良さそう. 最悪, このまま今のスーパーのアルバイトを続けてフリーター化しても良い. 高望みしなければどうにでもなろうが, ただ, 「大卒でないと就職に不利だから」 といって無理に大学に入れてくれた親のことを考えると, 苦しい.