読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

空き瓶

思ったことや自作小説について

「ゴシカ」 第 2 章 第 6 部分についての憶え書き

さまざまな接続が, ここで不思議な失語を見せた[--] ゴシカ OPENed°

ゴシカ」 第 2 章 第 6 部分を公開した.

過去回である. 今話はわりと筋の通った摑みやすい話になっていると思う. ギーゼラの観念系をかなり直截 [ちょくせつ] に書いたつもりだ. [くさび] の森でのできごとは, 当初は, ここでは仄めかす程度に軽く済ませ, しかるべき段階で詳しく描写するつもりだったのだが, 結局がっつり書いてしまった. ただ, "こちらも改めて触れる機会があろう" と補記した通り, 例の少年はなに者なのか, なんのためにそこにいたのか, といった観点から, いつか再び言及することになる筈だ.

あとはいつも通り列記していこう:

  • 2 万 5000 文字も書いてきたかいあってか (というと, 呆れられそうだが ……), だいぶ読点を打ちなれてきた気がする. 初めに比べ, 半角スペースに頼ることが少なくなった
  • 斜檣 [バウスプリット] の嵐の 「斜檣」 は 「しゃしょう」 と [] む. DX-X10000 (電子辞書) で調べると, 「斜檣」 では新和英大辞典しか引っかからないが, 「バウスプリット」 (Bowsprit) だと広辞苑ほかランダム・ハウス英和大辞典などもヒットし, カタカナ表記のほうがメジャーらしいので, 読みにはそちらを宛てた.

    Bowsprit は正確には 「第 1 斜檣 [しゃしょう]」 で, 帆船の "帆を張るための, 船首に斜めに突きだした帆柱" (広辞苑より), すなわち, マストなどを支える綱 (支索) を繋ぎとめる舳さきの棒のことだ (ちなみに第 2 斜檣は, 新和英いわく 「Martingale」 に当たり, これは, バウスプリットの補強に海側へと下に張った支索, あるいは その索をしっかり張るための円材 (古くは Dolphin striker) らしいのだが, Web 辞書には第 2 斜檣 = Jib boom と載っており, こちらのほうが適当っぽい?). 辞書によると, Bowsprit の 「Bow」 が船首を, 「Sprit」 が帆を張りだす斜めに突きでた円材をそれぞれ意味し, いっぽう漢字については 「檣」 1 字で 「ほばしら」 と [] めるそうだから, 斜檣は, Bowsprit よりかは単に Sprit に対応していると考えたほうが, 字義的には正確かも知れない *1.

    こうした帆船用語を知るに当たり, 例えば次のページが役に立ったのだが:

    このサイト, 船や軍事に特化したサイトかと思いきや, 『FLESH & BLOOD』という BL 小説の単なるファン・サイトらしくて驚いた ……

  • "石造建築の廃墟があった" という記述, 初めは "石造建築の廃墟が建っていた" としていたのだけれど, 「建てられた建築物が廃墟化したのであって, べつに廃墟が建てられたわけではないから, ズレているな」 と思いなおし, シンプルに 「あった」 に替えた
  • "ギーゼラを霊的に震撼させた少年が閃かせるところの斜立 [しゃりつ] は" 中の 「斜立」 は, 果樹 (特に桃) の剪定で現れる農業用語だ. 果樹の整枝法は 「立ち木仕たて」 と 「棚仕たて」 とに大別され, 前者の立ち木仕たてには, 短い主幹から 2, 3 本の主枝が開張する 「開心自然形」 の樹形に持っていく 「開心自然形仕たて」 や, ほかにも 「Y 字形仕たて」 「主幹形仕たて」 など色々あるらしく, そうした剪定スタイルのひとつ 「斜立仕たて」 のうちに, 作中で使った斜立の語が見いだされる. 斜立仕たてとは "1 本の主幹を斜めに立ちあげる" 剪定方法のことで, 読んで字のごとし, 斜めに立った形を斜立と [] ぶようだ.

    参考にしたリンク (抜粋):

  • 今さらかも知れないが, 上述の 「斜立 [しゃりつ] 」 にせよ, ゴシカではしばしば本義を無視した語の使い方をする *2.そうした半造語でぎりぎりのものが, 前話で出てきた 「結節」 だと思っている (cf. " [] かくして, 眼に見える複数広場は '複数広場' と結節するのだから"). 本義の 「ふしができる」 の意では解釈が難しかろう. 単なる誤用だと思われたら嫌なので, 半造語であることは明かしておく. ("遺跡が中心する原っぱの空間全体が" 中の 「中心する」 も, 「中心」 の語が一般的にサ変複合動詞化されない以上, 半造語的と見なすべきか?)

*1:実際, Bowsprit は 「船首斜檣」 とも訳すようだ

*2:また, 「反輳 [はんそう] 」 に代表されるような純然たる造語も現れる